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飲食経営ラボ │ 佐々木康典
現場で試し、数字で考え、仕組みにする。 | 飲食経営ラボ │ 佐々木康典
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飲食店の原価率は何%が正解?現場で考える原価管理の基本

2026 10/02
経営・数字
2026年10月2日

飲食店を経営していると、「原価率は30%くらいに抑えた方がいい」という話をよく聞きます。 

僕自身も飲食店を運営する中で、原価率は常に確認している数字の一つです。
ただ、実際に店を経営していると、「原価率30%以内なら利益が出る」というほど単純ではありません。

原価率が高くても利益を残せる商品もあれば、原価率が低くても思ったほど利益につながらない商品もあります。

大切なのは、原価率という一つの数字だけを見るのではなく、「その商品がいくらの粗利を生み、どれくらい売れ、店全体の利益にどう貢献しているか」まで考えることです。

この記事では、実際に飲食店を運営している立場から、原価率の基本と、僕が現場でどのように原価を考えているのかを整理します。

目次

原価率30%は「目安」であって正解ではない

飲食店では「原価率30%」という数字が一つの目安としてよく使われます。

例えば、1,000円で販売する料理の食材原価が300円なら、原価率は30%です。

原価率 = 食材原価 ÷ 売価 × 100

ただし、僕は「すべての商品を30%以内にする」ことを目標にはしていません。

なぜなら、実際の経営では原価率よりも「いくら粗利が残るのか」を見る必要があるからです。

例えば、

・1,000円の商品/原価300円 → 原価率30%/粗利700円
・2,000円の商品/原価800円 → 原価率40%/粗利1,200円

原価率だけを見ると、40%の商品は「原価が高い」と感じます。

しかし、1品売れたときに店に残る粗利を見ると、後者は1,200円です。

原価率が低い=儲かる、原価率が高い=儲からない、とは限りません。

だから僕は、原価率だけで商品を判断するのではなく、売価・原価・粗利額をセットで見るようにしています。

「原価率」だけでなく「店全体の利益」で考える

原価率を管理することは大切ですが、すべての商品を同じ原価率にそろえる必要はないと考えています。

飲食店には、原価をかけることでお客様に「この店はいいな」と感じてもらえる商品があります。

例えば、刺身や魚料理、肉料理など、店の看板になる商品です。

こうした商品は、原価率が多少高くなっても、商品の魅力や満足度につながるのであれば意味があります。

一方で、ドリンクや一品料理など、比較的原価率を抑えやすい商品もあります。

大切なのは、一品一品をすべて30%以内に収めることではなく、店全体で原価をコントロールすることです。

例えば、

・看板商品 売価2,000円/原価800円 → 原価率40%
・一品料理 売価700円/原価175円 → 原価率25%
・ドリンク 売価600円/原価120円 → 原価率20%

このように、商品ごとに役割を持たせれば、看板商品にはしっかり原価をかけながら、店全体では原価率をコントロールできます。

僕自身、メニューを考えるときは「この料理の原価率は何%か」だけではなく、その商品を注文してもらうことで、客単価や店全体の粗利がどう変わるのかまで見るようにしています。

原価を下げること自体が目的ではありません。

お客様に感じてもらう価値を落とさず、必要なところには原価をかけ、店として利益を残す。

これが、実際の店舗で原価管理をするときに大切にしている考え方です。

原価率が低くても、売れなければ意味がない

原価率を下げれば、数字の上では利益が出やすくなります。

しかし、原価率が低い商品を作ったとしても、その商品がお客様に選ばれなければ利益は生まれません。

例えば、

・商品A 粗利700円 × 月100食 = 粗利70,000円
・商品B 粗利1,000円 × 月20食 = 粗利20,000円

1品あたりの粗利だけを見ると商品Bの方が優秀です。

しかし、実際に店にもたらしている粗利額は商品Aの方が大きくなります。

だから僕は、メニューを見るときに原価率や1品あたりの粗利だけでなく、「何食売れているか」もセットで確認することが重要だと考えています。

粗利額 × 出数

ここまで見ることで、その商品が実際に店の利益にどれだけ貢献しているのかが見えてきます。

さらに、よく売れる商品には別の価値もあります。

「これを食べにこの店へ行きたい」と思ってもらえる看板商品であれば、それを目的に来店してもらい、ドリンクや他の料理の注文につながることもあります。

つまり、一つの商品だけで採算を見るのではなく、その商品がお客様の注文や店全体の売上にどんな影響を与えているのかまで考える必要があります。

原価管理は、単に「食材を安くする仕事」ではありません。

どの商品に原価をかけ、どの商品で利益を作り、どう組み合わせて店全体の利益を残すか。

そこまで考えて、初めてメニューの数字が経営に使えるようになります。

原価だけでなく「人件費」も見る

飲食店の利益を考えるとき、食材原価と同じくらい重要なのが人件費です。

原価率を1%下げることに一生懸命になっていても、その料理を作るために多くの仕込み時間が必要だったり、営業中のオペレーションに負担がかかっていたりすれば、店全体で見た利益は思ったほど残らないことがあります。

逆に、多少原価率が高くても、仕込みや提供がシンプルで、よく売れる商品であれば、店にとって利益を生みやすい場合もあります。

だから僕は、食材原価だけではなく、「その売上をつくるために、どれだけの人が、どれだけの時間働いているのか」も見るようにしています。

人時売上高で考える

そのときに使える指標の一つが「人時売上高」です。

人時売上高 = 売上高 ÷ 総労働時間

例えば、月商500万円で、スタッフ全員の総労働時間が1,000時間だった場合、

500万円 ÷ 1,000時間 = 5,000円/人時

となります。

つまり、スタッフが1時間働くことで、平均5,000円の売上を生み出しているという見方です。

粗利まで含めて考える

ただし、売上だけを見ると食材原価の違いが反映されません。

そこで僕は、粗利を総労働時間で割って考えることもあります。

例えば、売上500万円、粗利率70%なら、粗利は350万円です。

総労働時間が1,000時間なら、

350万円 ÷ 1,000時間 = 3,500円/人時

となります。

このように見ると、単に「原価率が何%だったか」だけではなく、投入した労働時間に対して、どれだけの粗利を生み出せているかまで考えられるようになります。

原価を下げる、人件費を下げる、という考え方だけでは、現場が疲弊したり、お客様への価値が下がったりする可能性があります。

大切なのは、単純にコストを削ることではありません。

同じ人数・同じ時間で、より大きな価値と粗利を生み出せる仕組みをつくること。

メニュー構成、仕込み、発注、営業中の動きまで含めて改善していくことが、飲食店の利益改善につながると考えています。

僕が実際に原価管理で確認していること

原価管理というと、毎月の原価率を計算して終わりになりがちです。

ただ、原価率は「結果」です。

数字が高かった、低かっただけでは、次に何を改善すればいいのか分かりません。

僕は原価を見るとき、主に次のような点を確認しています。

  • 商品ごとの売価・原価・粗利額
  • その商品が実際に何個売れているか
  • 廃棄やロスが出ていないか
  • 盛り付け量やポーションがズレていないか
  • 仕入価格が以前より上がっていないか
  • よく売れる商品の粗利が十分に取れているか
  • 売れない商品を仕込み続けていないか
  • 仕込みや提供に必要以上の時間がかかっていないか

特に重要なのは、「原価率が高い商品を探すこと」ではなく、「店全体の利益にどう影響しているかを見ること」です。

原価率40%の商品でも、よく売れて大きな粗利を生んでいるなら、店にとって重要な商品かもしれません。

一方で、原価率25%でも、ほとんど売れず、仕込みや廃棄が多い商品なら、見直す必要があります。

だから原価管理では、原価率・粗利額・販売数・ロス・作業時間をできるだけセットで見る。

これが、僕が実際の店舗運営で大切にしている考え方です。

まとめ|原価率30%より大切なのは「利益が残る仕組み」

飲食店の原価率30%という数字は、経営を見るうえで一つの目安になります。

ただし、30%以内に収めること自体が目的ではありません。

原価率が高くても、しっかり粗利を生み出し、お客様に選ばれている商品もあります。

反対に、原価率が低くても、売れない、ロスが多い、仕込みに時間がかかるのであれば、店全体の利益にはつながらないこともあります。

だから僕は、原価を見るときに、

  • 原価率
  • 粗利額
  • 販売数
  • ロス
  • 人件費・作業時間

をできるだけセットで考えるようにしています。

大切なのは、原価を下げることではなく、お客様に感じてもらう価値を守りながら、店にきちんと利益が残る状態をつくることです。

そのためには、食材原価だけではなく、価格設定、メニュー構成、仕込み、オペレーション、人員配置まで含めて考える必要があります。

僕自身も、実際に飲食店を運営しながら数字を確認し、試して、改善を繰り返しています。

この「Lamour|飲食店経営ラボ」では、机上の理論だけではなく、実際の店舗で試している経営改善や仕組みづくりをこれからも発信していきます。

自分の店の数字を、一度整理してみませんか?

「原価率は出しているけれど、適正なのか分からない」

「売上はあるのに、思ったほど利益が残らない」

「原価や人件費を、どこから改善すればいいのか分からない」

そんな場合は、まず現在のお店の状況を整理するところから一緒に考えます。

課題がまだ明確になっていなくても大丈夫です。

無料で相談する

投稿者プロフィール

佐々木 康典
佐々木 康典
滋賀県東近江市で「炉端・炭火焼 えん」を運営。
飲食店の現場で実践してきた原価管理、人材育成、業務改善、AI・IT活用などを発信しています。
現場で試し、数字で考え、仕組みにすることを大切にしています。
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